- 海外渡航前に確認すべきことやポイント
- 入出国情報などの渡航情報の確認の仕方
海外渡航の勘、鈍っていませんか?
旅した国は約40か国!現役の旅行会社の人・Namic(@739_nami)です。
2023年5月に日本がコロナの水際対策を撤廃してから、日本入国時にワクチン接種証明書やPCR検査の陰性証明書が不要となり、コロナ前のように特別な手続きなしで海外へ行って帰って来れるようになりました。
私、実はコロナのワクチンを1度も接種していなかったので、日本に3年半も幽閉されているような気持ちでした
水際対策の撤廃から暫くは様子見をしていた皆さんも、押し寄せる外国人観光客を見て、海外に行きたい熱が過熱している方も多いはず!
そこで海外航空券を購入してイザ海外へ!となっている人もいるかもしれません。
私も久々に3週間後に海外周遊に出掛けることとなり、何か大事な手続きなど忘れていないかちょっと不安です。
そこそこ海外に行っていたときは自然に確認したり、当たり前と思ってやっていたことも、ブランクがあくと忘れちゃいますよね。
そこでそんな鈍った勘で海外に飛び出す前に、最低限かつ必ずチェックすべきポイントをプロの目線で解説します。
海外への渡航前にチェックしたい2つのこと
海外に行くうえで超重要なことは大きく2つあります。
それは海外を往来するうえで不可欠な公的文書である有効なパスポートを持っていることと、訪問先の国の入出国の条件を満たしているかということ。
その1 有効かつ十分な残存期間があるパスポート
有効なパスポートというのは、パスポートの有効期限が切れていないパスポートのこと。
この点に関しては周知の事実であることは間違いありません。
でもこれだけでは不十分。
有効期間が残っていることは当たり前、かつ最低でも日本出国時点で6か月以上の残存期間が必要。
欲を言えば、日本出国時に1年近くの残存期間が欲しい。
ちなみにパスポートの更新は有効期限の1年前からパスポートセンターで受け付けてもらえます。
残存期間が1年以上ある場合は、やむを得ない理由がありその旨を理由書にして提出することで受け付けてもらえることもありますが、各パスポートセンターの判断によります。
- 渡航中の怪我や病気で入院、地震や有事に巻き込まれるなど不測の事態が起こり、予定よりも滞在が長引いてしまった際にパスポートの有効期限が切れてしまうのをふせぐため
- 国により入国時に必要なパスポート残存期間が異なるため
主にこの2つの理由より、残存期限がとても重要になってきます。
海外滞在中にパスポートの有効期限が切れてしまった場合、日本に帰国できなくなります。
海外でのパスポート再発行には日本大使館に出頭しての手続きとなり、日本国内での手続きよりも手間も時間もかかります。
渡航先での盗難など緊急の場合は、大使館で渡航書という日本への帰国のみ有効となるパスポートの代わりとなる書類を発行してもらい、日本への帰国便に搭乗することは可能ですが、いずれにしても手間であることに違いありません。
また、訪問する国が定めるパスポートの最低残存期間を満たしていない場合、そもそも航空会社に搭乗を拒否されるので、日本から出ることもできません。
その2 渡航先の入出国条件
パスポートの有効期限を確認し、6か月以上あれば安心♪
かと思いきや、まだまだ海外渡航にはトラップがあります。
まず渡航先の入国条件について確認しましょう!
とは言っても、入国条件ってどんなことをどうやって調べたらいいの?
そんな疑問にお答えします。
WHAT-何を調べたらいいの?
調べるべきことは2点あります。
- 訪問する国に入国するのに、ビザ(査証)の取得が必要かどうか
- 訪問する国に入国するにはパスポートの残存期間が何カ月必要か
この2点について調べる必要があります。
まず、ビザ(査証)というのは、その訪問する国に入国する為に必要な許可であり、在日大使館もしくや領事館で申請し取得するものです。
例えば、日本国籍者が中国やロシア、パキスタン等へ行く際には、必ず事前に査証の取得が必要です。(2023年10月現在)
これらの国へ渡航する際には、事前に在日大使館もしくは領事館へパスポートと申請書、必要書類を持って出頭し、査証申請の手続きを行う必要があります。
必要書類は国により異なり、中国は大使館・領事館ではなくビザセンターというビザの申請のみを行っている機関での手続きとなります。
また、インドも渡航目的問わず査証の取得が必要ですが、オンライン査証やインドの空港到着時にアライバル査証を取得するという複数の選択肢があります。
タイは観光目的かつ空路入国であれば30日以内の滞在は無査証でOKですが、商用目的であれば査証取得が必須です。
国により査証の要否や渡航目的、滞在日数による査証要否が異なるので、必ず自分が訪問する国が査証が必要かどうかということを確認しなければなりません。
また、アメリカは90日以内の滞在の場合は、ESTA(エスタ)という電子渡航認証の登録が必要です。
このESTAも搭乗の72時間前までの登録が推奨されていますし、査証も国により取得日数が異なるので、渡航が決まったらすぐに入国条件の確認が必要です。
入国するのに査証が不要な国であっても、入国する際に必要なパスポートの残存期間を国毎に定めています。
無査証入国ができる国であっても、必ず入国時に必要なパスポートの最低残存期間の確認をしてください。
シンガポール:入国時6か月以上
タイ:入国時6か月以上
カタール:入国時6か月以上(+未使用査証爛ページ見開き2ページ以上)
ジャマイカ:入国時6か月以上(+未使用査証爛ページ1ページ以上)
等(2023年10月時点)
南米やアフリカ方面への渡航や、渡航歴がある人が注意したいのが、「黄熱病予防接種証明書」通称:イエローカードの要否です。
南米やアフリカなどの黄熱病感染のリスクがある国への入国や、リスク国からの入国の場合、イエローカードがないと入国を拒否されるケースがあります。
黄熱病の感染リスク国は厚生労働省検疫所FORTHのHPに一覧が掲載されているので、リスク国への渡航予定がある人は、イエローカードの取得が必要となる可能性が高いです。
HOW-どうやって調べたらいいの?
入国条件の調査は超重要ということはわかっていただいたかと思います。
ではこの入国条件、どうやって調べたら良いのでしょうか?
重要なことは必ず2つ以上のサイト(情報元)から情報を入手すること
査証や入国情報というのは、日本との関係や国際情勢により頻繁に更新されます。
一つの情報元からの情報だと、その情報が更新されていなければアウトです。
なので必ず入国情報は複数の情報元を確認してください。
旅行会社で航空券の提案営業や査証のアドバイスを10年以上行っていた私が信頼する入国情報の入手ルートをご紹介します。
sherpaという会社が世界各国の渡航情報をまとめたサイトを運営しています。
JALもこのsherpaと提携しており、JALの渡航情報案内はsherpaが担っています。
また、旅行会社の社員はJATA(日本旅行業協会)が提供する会員サイトで査証の要否やパスポートの残存を確認するのですが、このJATAも入国要件の検索ツールとしてsherpaを推奨しているので、かなり信頼度は高いです。
※JATAが提供する渡航情報を確認できる会員サイト「JATA NAVI」は会員向け有料サイトなので一般には公開されていません。
また、このsherpaのサイトは国籍と住んでいる場所を入力すると、世界地図にビザいる国、要らない国を色分けしてくれるのでとても見やすくてオススメ!
外務省の渡航安全ホームページでは、渡航する国の安全情報のみならず、コロナ関連による入国制限・行動制限を設けている国を一覧で確認できるので、こちらもチェックが必要です。
利用する航空会社のホームページ
航空会社は就航している国の入国要件をHPに記載していることが多いので、利用する航空会社のHPで入国要件を確認できます。
ただし、外資系航空会社だと英語であることも多いので、他のサイトで得た情報の裏どりに使う感じです。
在外日本大使館のホームページ
訪問する国の日本大使館のホームページにはその国への入国情報が記載されています。
それぞれの大使館により差はありますが、入国の注意事項やお役立ち情報を掲載している大使館もあるので、こちらも必ずチェックが必要です。
在日大使館・領事館
査証の申請が必要な場合は、日本にある訪問国の大使館・領事館のホームページで査証の概要、申請に必要な書類を確認しましょう。
国によってはかなり複雑なので、旅行会社へ代理申請を依頼するのも一つの手です。
ただし、代理申請が認められていない国や査証の種類があります。
欧州の国の多くは代理申請ができず、欧州のシェンゲンビザも代理申請ができません。
その他注意事項
パスポートの残存期限や査証の要否がとても重要なことはおわかりいただけたかと思いますが、パスポートの残存をチェックするのにとてもトリッキーなエリアがあります。
それはヨーロッパのシェンゲン協定加盟国です。
シェンゲン協定(シェンゲンきょうてい、英語: Schengen Agreement)は、ヨーロッパの国家間において国境検査なしで国境を越えることを許可する協定である。
ウィキペディア
簡単に言えば、シェンゲン協定に参加している国は、パスポートコントロールなしに国境を越えられるので、国内移動のような扱いになるということです。
2023年1月の時点でヨーロッパの27か国が参加しています。
例えば、日本からドイツへ空路入国し、陸路移動でイタリアへ行き、イタリアから空路で日本へ帰国する場合、ドイツで入国審査、イタリアで出国審査をするのみで、ドイツとイタリアの国境を超える際にはパスポートコントロールがありません。
となると、ドイツとイタリアは同じ国のような扱いになりますが、
ドイツ:シェンゲン協定加盟国出国時3ヵ月以上
イタリア:シェンゲン協定加盟国出国時90日以上
とドイツとイタリアでは微妙にパスポート残存期限が異なります。
ヨーロッパを周遊するような旅行の場合、シェンゲン協定国でも残存期間の設定が異なるので訪問国すべてのパスポート残存期限の確認が必要となります!
もう1つ気を付けたいのが、シェンゲン協定加盟国においてビザ免除で滞在ができるのは、あらゆる180日の期間内で90日以内です。
これは180日以内の間で連続・非連続問わず、合計で90日以内の滞在となるので、長期でヨーロッパを周遊しようとしている人は要注意です。
2024年よりEUへの渡航にはETIAS(European Travel Information and Authorisation System/欧州渡航情報認証制度)という電子渡航認証への登録が必要となります。
イメージとしてはアメリカのESTAやカナダのeTAのようなもので、日本国籍のようなビザ免除対象者であっても必ず渡航前に申請・承認が必要となります。
導入時期や詳細は2023年10月時点でまだ発表されていませんが、申請後の承認に最大4週間かかり、費用は7ユーロになるとのことです。
実際に申請から承認までどれくらいの日数がかかるかわかりませんが、承認に最大1か月程度かかることを考慮してスケジュールを組む必要がありそうです。
読み方は「エティアス」だそうです。
まとめ
せっかく楽しみにしていた海外旅行で、日本を出発する前に搭乗拒否なんかで出鼻を挫かれないためにも、パスポートと入国要件の確認は綿密に行ってくださいね!
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